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7.4 対数関数

 対数関数のテイラー展開はそのままでは近似計算には向きません.しかし,工夫すればなんとか使えます.その工夫のひとつが「解析概論 高木貞治著」のp185〜p188で解説されています.(もちろん,よく知られた方法なので,この本だけでなく,多くの微積分の教科書にのっています.)
 まず,この計算法について解説しましょう.なお,もうひとつの工夫はオイラー変換を使う方法です.これはテイラー展開(10)で解説します.

(注意)
 実は,この場合のオイラー変換は単純な置き換えに過ぎません.そもそも,オイラー変換は1次分数変換によりテイラー級数を展開し直した式の特別な場合なのですが,たまたまここで使う式の1つと同等な式になります.そして,このような見方をすると,この2つの計算方法は全く同じ計算方法であるといえます.使う1次分数変換式が違うだけです.

 |
x|<1 において

が成立することはテイラー展開(2)で示しました.
xを−xに置き換えると,

が成立する.(1)と(2)を加えると,|
x|<1 において

が成立し,

とおくと,

とかけます.
 なお,

とおくと,

が成立するが,
y=1のとき,これは(1)をオイラー変換した式と一致します.
 さて,次に(3)の誤差評価をしておきましょう.

とおくと, 0 <
x < 1 のとき,

が成立する.とくに,

のとき,

となります.
 任意の(すべての)正の実数は
   α・2
n (1≦α<2;n は整数)  …(*)
の形に表せ,
   
log(α・2n)=log α+n log 2
となることから,
log 2 の値を求めておけば,ここで示した近似式を用いて任意の正の実数 x の自然対数 log x の値を計算できることが分かります.なお,コンピュータは2進数で計算しているので,(*)の形に表すのは容易です.
 
(計算例)
 
log 2≒2/3+2/3(1/3)3+2/5(1/3)5+2/7(1/3)7=0.69313…
 なお,
 log 2=0.693147…
である.
 
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