医学部合格のための数学の勉強法

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 少子化でやさしくなったのではとよく聞かれますが,相変わらず医学部合格は難しいのが現実です.また,勉強のやり方が悪いと,いくら勉強しても合格レベルに達しないために2浪以上してしまう生徒もかなりいます.私が出会った生徒の中には6浪した生徒がいます.
 では,どのように勉強すればよいでしょうか?
「どうしてあんなに色々な問題を大学の先生は考えつくのですか.」と聞かれることもありますが,実は問題を解くために必要な考え方,式変形のやり方,公式の使い方は意外に限られています.したがって,受験数学を熟知した先生が選んだ良問で演習することにより,問題を解くために必要な考え方,式変形のやり方,公式の使い方を身につけるようにすればよいのです.絶対に解法を丸暗記するようなやり方ではいけません.何回か解いた問題と同じタイプの問題を解けない生徒によく出会いますが,本人は記憶に頼っていると思っていない場合があります.問題の解法をよく理解することは簡単なことではありません.学力が不十分であると思う人は数をこなすより考える時間をしっかりとるようにした方がよいでしょう.何を考えればよいのか分かりにくい人は先生に聞きましょう.(医学部志望あるいは難関大志望の受験生のための数学講座で考え方を説明しす.)
 ところで,計算はただやればよいと考えてはいないでしょうか?計算のやり方を工夫することは非常に大切です.困ったことに市販されている問題集や参考書の解答をみると,計算のやり方をていねいに説明してあることは少なく,悪い計算のやり方で解答してある場合もあります.当たり前の話ですが,試験時間は限られています.悪い計算のやり方では間違いやすいし,時間が足りなくなってしまいます. それから,受験する大学の問題の傾向をしっかりつかんでおかねばなりません.大学によって出題傾向が大きく異なることがありますので,とくに私立大の医学部を受験する人は受験する大学をよく考えて選ばねばなりません.選択を誤ったために不合格になる場合があります.また,よく過去に出題された問題をチェックすると出題される問題はある程度予想できます.最近指導した生徒に直前に教えた問題とほぼ同じ問題がその生徒が受験した大学で出題されましたが,ずばり的中とはいかなくても,合格に必要な学力をつけるための問題を用意することは難しいことではありません. 抽象的な話ばかりでは分かりにくいと思いますので,例題を使って説明しましょう.

例題】
 
x,y,
zは正の数で,xyz>6,x2y2z2xyz=4 をともにみたすとき,
  (
x−2)(y−2)(z−2)≧0
が成立することを示せ.

【解説】
 与えられた条件より
  
xyz>6     
…@
  x2y2z2xyz=4 …A
 まず,扱いやすい等式に注目します.(普通,不等式より,等式の方が扱いやすい.)
Aを
xについて整理すると,
  
x2yzxy2z2−4=0
となり,
x の2次方程式とみることができます.(1つの文字について式を整理すると,問題を見通しよく解けることがあります.)
 次に,2次方程式の基本はと考えてみると,解の公式,判別式,解と係数の関係がすぐに頭の中に浮かぶはずです.
 
x,y,
zは実数なので,判別式をDとおくと,
  D=(yz)2−4(y2z2−4)
   =(y2−4)(z2−4)
   =(y−2)(y2)(z−2)(z2)≧0.
 よって,
y,
z が正の数であることに注意すれば,
  (y−2)(z−2)≧0
となることが分るので,x−2>0 であれば,
  
(
x−2)(y−2)(z−2)≧0
が成立することが分ります.ところで,Aより,
  x>2またはy>2またはz>2
となるので,以上の考え方でこの問題が解けることが分かります.

【補足】
 Aを次のように変形(2次関数の基本変形)しても容易に解けます。
  (xyz/2)2(y2/2−2)(z2/2−2)

 巧みな式変形をして解いてある例をみることがありますが,普通まねができないと思います.このように考えると自然な考え方で解けるはずです.ただし,自力では考えつくことが無理な解法もありますので,いくつかの解法を覚えることも必要です.
 ところで,あまり出そうもない問題を例題にしていると思う人がいるかもしれません.この問題は某国立大学(医)で実際に出された問題の類題です.医学部に合格するためには,よく出る問題は確実に解かないと話になりません.したがって,あまりみたことがない問題を解けるかどうかが合否を分けるのですが,正しい勉強の仕方が身に付いていれば,あまりみたことのない問題でも無理なく解答できるようになるのです.

 数理の部屋(テイラー展開等)にも大学入試に出る重要な問題とその解説があります.そちらの方もみて下さい.

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